予防先進国での歯周病に関しての考え方
歯科衛生士の佐藤です。
昨年は新型コロナウイルス感染症拡大によって生活様式も大きく変わり、ご自身のライフスタイルを見直された方も多かったのではないでしょうか。
皆様はどのような一年を過ごされましたか?
エルバ歯科衛生士認定試験合格!
私にとって2020年は、より深く歯周病という病気を学び、また、最新の世界基準のメンテナンス方法を習得することができました。
そのきっかけとなったのがSDAスイスデンタルアカデミーの講習会への参加でした。
その講習会では世界一の予防先進国であるスウェーデンの歯周病に対しての概念、日本との歯周治療の違いを世界基準で学ぶことができました。
SDAセミナーの講習会に参加し、先日エルバ歯科衛生士認定試験にも合格することができましたので、今回は歯周病に関しての予防先進国での知識を皆さんにお伝えしようと思います!
最新の歯周病の考え方
まず今までの歯周病に対する考え方として
・歯周病菌がいるから、歯や歯茎が悪くなる
・歯石が歯茎を腫らしてしまう
だから歯医者さんに行って、歯石や歯周病菌をとってもらおう!
そう思われている方が多いのではないでしょうか?
あながち間違った答えではありません。
しかし、正確な答えでもありません。
人の体は80%が細菌叢でできているといわれています。
歯周病菌も常在菌の一つでもあり、その細菌をなくす、つまり、ゼロにすることはできないのです。
したがってお口の中の恒常性を保つこと、つまり、細菌と共存することが歯周病を進行させないための鍵となります。
歯周病の原因
今までの当院のブログを読まれている方は、すでにご存知かもしれませんが、歯周病が起こってしまう原因、進行してしまう原因はバイオフィルムにあります。
このバイオフィルムはプラーク(歯垢)が時間と共に成熟し膜が張った状態となります。
歯石をいくら取っていてもバイオフィルム自体が取りきれていないとまた炎症はおきてしまうのです。
この炎症が歯周病を進行させ、身体中にも害を及ぼします。
※詳細はこちらのブログをご覧ください。
⇒歯のプラーク(歯垢)、バイオフィルムを落とす歯のクリーニングの重要性
歯周病のサイン
みなさんは今こんな症状はございませんか?
・歯が浮くような感じがある
・体調が悪い時に歯や歯茎が痛む
・昔と歯並びが変わっている
・時々歯茎から出血が見られる
・歯が伸びたように感じる
・歯ブラシに血が滲むことがある
ひとつでも当てはまる方は歯周病の可能性があります。
今痛みがなくとも、そのまま放置していると将来歯を失ってしまうかもしれません。
事実、定期的に歯科医院で検診を行っている方と、症状がある時だけ来院される方では若いうちに症状は出なくても、50代60代になった時に歯の本数に大きく差が出ることがわかってきています。
歯周病の怖いところは、痛みがなく進行してしまうことが挙げられます。
先進国ではsilent disease (静かな病気)と呼ばれ、気づかない病気として知られています。
また、歯を失うだけでなく、歯周病がきっかけで心疾患や糖尿病、低体重児出産などの全身疾患を引き起こしてしまうかもしれません。
このように歯周病は今やお口だけでなく、全身に影響を与える疾患なのです。
歯周病予防の鍵はインフェクションコントロール
予防先進国であるスウェーデンでは、インフェクションコントロールを基準に治療をおこなっています。
インフェクションコントロールとは、生体と細菌のバランスで疾患が起こらない程度に感染を制御することです。
何十分もかけて完璧に歯磨きをする必要はありません。
前述した通り、細菌との共存が歯周病を引き起こさせないことにつながります。
おうちでのケアと歯医者さんでのクリーニングで細菌のバランスを保ちましょう!
エルバで一年間勉強を重ね思ったことは、予防先進国と日本との大きな差は治療の焦点にあると感じました。
日本では、悪くなっている歯を治すことから始まります。
しかし予防先進国では、悪くなっていない歯を病気にさせないことからはじまります。
歯を失わないためには、予防することが重要だと分かっているからこそ、診ている焦点が違うのだと思います。
今よりも噛める、美しく健康なお口になるためには、今からでも悪くなっていない歯を残していくことです。
当院では予防先進国の最先端の知識を大切な患者様と共有し、最善の歯科予防治療を御提案できるよう日々励んでおります。
80歳になっても、いつまでも噛める理想的なお口を実現させましょう!
埼玉県さいたま市 与野 福永歯科医院
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